株式会社 Ds'sメンタルヘルス・ラボ

サマリー

　在宅勤務、自宅待機、そして自粛生活という非日常的な生活が続くと、様々な影響が身体・心に生じる可能性が高まります。本コラムでは、このような影響をできるだけ軽減し、健康を維持するために、まずどのような要因があるかを解説し、生活習慣を見直すために有用な生活行動記録表の紹介と使い方を解説していきます。
 

在宅勤務には生活を乱す要因がたくさんある！

　まず、通勤時間がなくなり、時間に余裕ができます。これはもちろん、メリットでもありますが、朝の時間に余裕があるとついつい夜更かしをしてしまいがちです。
　また、自分を律するものが少なく、自由な環境におかれてしまいます。厳しい上司の目もなく、同僚の目を気にする必要がないとなると、だらしなく過ごしてしまうことが多くなってしまいます。たまのウェブ会議では、ビデオに映る上半身はばっちりと決め、下半身はジャージというのはお約束です。
　さらに、毎日在宅をしていると、メリハリがつけにくく、変わりばえのない日々が続いてしまいます。一昨日にしたことと、昨日にしたことがごっちゃになってしまったり、曜日の感覚が希薄になってしまう人もいます。
　それから、平常時よりもどうしてもコミュニケーションが減ってしまいますが、人との接触が減ると、いざ話そうとすると面倒になったり、そのような場面を避けるようになる、いわゆる引きこもりの悪循環に陥ってしまいます。
　ご家庭がある場合は、家族、特にライフスタイルの異なる子どもに乱されてしまうこともあります。
　このように、在宅勤務には、生活習慣を乱す要因がたくさんありますので、意識して規則正しく過ごさなくてはなりません。そのためには、まず、日々の生活を記録し、定期的に見直して習慣を是正する必要があります。
 

生活を規則正しく送るための強力なツール、生活行動記録表とは？

　それでは、生活について記録するにはどうしたらよいでしょうか。まず当然ですが、毎日記録できるようにします。そして、ある程度の期間、まとまって振り返ることができるようにします。1日1日を振り返ると自身の傾向よりも、その日その日のイベントに左右されてしまいやすく、一方、一ヶ月などあまり長いと見直すにも、見直して生活を立て直すのにも時間がかかってしまうので、1週間程度を記録して見直すのがちょうどよい長さだと思います。
　記録する内容としては、生活の要素である、睡眠、活動、運動、栄養、コミュニケーションについて記載をしておくと振り返りの際に有用です。
 
　参考に私たちが作成した生活行動記録表をお示しします。
 

 
特徴
・1週間で1枚。
・1列ずつに1日の活動内容を記載。
・生活の要素である、体調、睡眠、運動、コミュニケーション、食事、そして体重を記載。
・自由記載欄
 
 
　ここに体重があり、意外に思われるかもしれませんが、一部で「コロナ太り」という声も聞こえているように、生活習慣が乱れ、ストレスがたまるとどうしても太りやすい環境になってしまいます。毎日体重を記録して意識することは、ウェイトコントロールにはとても大切で、効果的ですので記録をしておきましょう。
　そして、記録のどこかに自由欄を設けておくと、その日の気分を記載したり、もし酒量が気になるようでしたら飲酒量を記載したり、一言メモを記載したりと工夫次第でさらに有用な記録になります。万が一、振り返った際に酒量が多すぎてどうにもコントロールできない、眠れない日々が続いたなど、異変を感じた際にはそのシートをそのまま持参して、産業医や精神科医等の専門家に相談をしてください。もちろん、ここでお示しした表を使わなくても構いませんが、その場合は、ここに記載しているような要素を含めて記録をするとよいでしょう。
　繰り返しですが、記録をつけたらそのままにせず、振り返りをしてよりよい生活ができるように活用してください。
 

まとめ

　今のような異常事態に心身の健康を維持するためには、まず、規則正しい生活を送ることが大切になります。ただ、実際の所、規則正しい生活といっても中々達成は難しいのではないでしょうか。今回、ご紹介した生活行動記録表は、実は、メンタルヘルス不調に陥った方が生活を記録して生活を見直したり、症状との関連を調べたりする際に使用するツールで医療機関や復職支援として企業で広く用いられています。今回、以前私たちが復職支援用に作成して使用している生活行動記録表をベースに、在宅勤務時に注目すべき要素を盛り込み、新たに作成したツールを公表させていただきました。ぜひ、有用にご活用ください。